日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の免疫組織化学的検討
大腸粘膜におけるIgA, IgGおよびIgM陽性細胞の動態
千住 雅博牧山 和也芳賀 英章水田 陽平久保 啓吾船津 史郎井上 健一郎田中 俊郎長部 雅之村田 育夫今西 建夫原 耕平
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1987 年 40 巻 3 号 p. 279-286

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抄録
潰瘍性大腸炎の病変局所における液性免疫の病態をみる目的で,免疫グロブリン陽性細胞(IgA,IgG,IgM)について検討した.潰瘍性大腸炎27例の直腸粘膜より内視鏡下に採取した生検組織45病変,および活動期の症例で明らかに炎症部より離れた正常外観粘膜部よりの生検組織6試料を対象とし,酵素抗体直接法を用いて陽性細胞を同定した.その結果,いずれの陽性細胞も,潰瘍性大腸炎の活動期に,緩解期およびコントロール群に比べ,有意に増加した.特に,IgGおよびIgM陽性細胞は,コントロール群に比べ,おのおの4.3倍および4.5倍と著明に増加した,IgGおよびIgM陽性細胞は,活動期より緩解期になると,有意に減少した.炎症部より離れた正常外観粘膜部では,IgA陽性細胞の減少傾向,IgG陽性細胞の増加傾向が認められた.以上より,潰瘍性大腸炎の炎症粘膜のみならず,正常外観粘膜部でも液性免疫系の異常が示唆された.
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