日本大腸肛門病学会雑誌
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便潜血反応(化学法,免疫法)の経時的変化の検討
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1987 年 40 巻 4 号 p. 386-389

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抄録

各種便潜血反応の経時的変化を見るために,溶血液を糞便中に混和し,反応の推移を検討した。検体をそのまま室温で保存した場合,化学法であるスライドA,B法は2日目より免疫法であるラテックス凝集法でも3日目より反応が弱くなった。検体を4℃で保存した場合,いずれの方法でも反応に変化はなかった。
スライドに検体を塗布して室温保存した場合,スライドA法は変化がなく,スライドB法では4日目からやや反応は弱くなったが陽性が持続した。ラテックス凝集法で,検体を緩衝液中に混和し室温で保存した場合,4日目から反応が弱くなった。さらに,ラテックス凝集法で糞便中ヘモグロビンを定量的に測定した結果,検体の室温保存で3日目に45%,8日目で40%まで低下したが,検体を緩衝液中で保存した場合は,室温保存でも3日目で100%,8日目でも90%と変化は少なかった。
以上の結果から,数日間の検体保存は冷所で行う必要があるが,スライド塗布か緩衝液中保存であれば,4-5日間の室温保存は可能と考えられた。

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