日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸ポリポーシス―総説・統計・治療
三島 好雄八重樫 寛治
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1987 年 40 巻 6 号 p. 689-698

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抄録

癌高危険度群として重要かつ興味ある大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)を中心とした大腸ポリポーシスの現況を,ポリポーシス腸疾患研究センターへの登録例550家系788例を対象に検討した.ポリープの多くは,10歳位までに発生するが高年初発例もあり注意を要する.非家族性例が39.0%あった.発端者(有症状者)の診断は,男34.6歳,女31.9歳で,すでに63.3'%に大腸癌が存在した.一方検査発見群での有癌率は22.9%と約1/3であった.本症は上部消化管病変,消化管外病変を伴う全身性疾患とくに胃,十二指腸,小腸,子宮,甲状腺などの悪性腫瘍に対する対応も重要である.外科的治療は発端者群に対し,標準的手術(大腸全摘,結腸全摘)が55%で選択され,10年生存率は63.8%,72.8%であった.検査発見群では76.9%に標準的手術が施行され,結腸全摘例での術後7~8年以降生存率低下が注目された.最後に本症の管理・治療には登録システムによる長期的,系統的体制が重要であることを強調したい.

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