日本大腸肛門病学会雑誌
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Flow Cytometryによる大腸癌のPloidyおよびS+G2・M期細胞比率と臨床病理学的所見との関連についての研究
増田 亨
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1987 年 40 巻 6 号 p. 734-740

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抄録

大腸癌では腫瘍細胞のDNA ploidyと予後の関連について研究者の意見は必ずしも一致しておらず,病期が同じであればdiploidの腫瘍とaneuploidの腫瘍の予後は変らないとする報告もある.このことから著者は51例の大腸癌についてflow cytometric DNA analysisを行い,DNA polidyおよびproliferation index(P.I.)と臨床病理学的な諸因子との関係を検討した.病期の進んだものはaneuploidの腫瘍に多くみられたが,DNA ploidyは患者の性,年齢,腫瘍の占拠部位,組織型,深達度,リンパ節転移,遠隔転移のいずれとも有意な相関を認めなかった.P.I.は病理組織学的リンパ管侵襲との間に相関を認めたが,他の諸因子とは相関せず,DNA ploidyとの間にも相関を認めなかった,すなわち,大腸癌のDNA ploidyおよびP.I.はそれぞれに,また他の臨床病理学的因子と独立した因子であり,aneuploidのもので病期の進行したものが多いことが知られた.

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