1987 年 40 巻 6 号 p. 801-805
大腸手術の術前処置は機械的処置と抗生剤の経口投与が行われてきたが,狭窄がある例ではその効果は不十分であることが多い.過去12年間に行った大腸待期手術283例のうち,機械的処置群(1群)と成分栄養による腸管処置群(II群)の年齢,性,癌の占居部位が一致した54対を抽出し,縫合不全および創感染の発生率を比較検討した.全症例の縫合不全および創感染率は皿群で有意に低く,抗生剤を投与した群よりも低かった.しかし,直腸切除術後の創感染率や腸管吻合術後の縫合不全率では有意の差はなかった.成分栄養法は大腸手術の術前処置方法として,所期の目的を達成することができた.