患者は68歳女性,腹痛を主訴に来院し,注腸透視にて上行結腸に約2cm大の表面平滑で境界明瞭な腫瘤陰影を認め,大腸内視鏡検査では同部にやや黄色調を呈する可動性に富む軟かい有茎性ポリープを認めた。診断と治療の目的に内視鏡的ポリペクトミーを行った.摘出標本の大きさは1.7×1.5×1.5cmで,病理組織学的には粘膜下に発生した脂肪腫であった.大腸脂肪腫は近年増加傾向にあるが,内視鏡的ポリペクトミーにより摘出例は本例を含め23例に過ぎない.内視鏡的ポリペクトミーは本症の診断と今後の治療法として有用と考える.