日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌手術前腸管前処置の腸内細菌叢に及ぼす影響
奥田 誠松本 重喜中井 勝彦有森 正樹近藤 正辨野 義己
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1988 年 41 巻 3 号 p. 227-235

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抄録

大腸手術前腸管前処置にかんしては従来から低残渣食を主体とする機械的前処置とカナマイシン内服の化学的前処置の併用が広く行なわれてきた.今回従来の方法(I群)と比較するかたちで低残渣食のかわりに半消化態栄養剤クリニミール使用の場合(II群)さらにこれに嫌気性菌を対象にメトロニダゾールを併用(III群)した3群間で腸内細菌叢の変化を検討した.総菌数では3群いずれも減少したがI群がもっとも減少し次いでIII群であった.I群,IIは嫌気性菌,好気性菌ともに減少したがIII群では嫌気性菌は検出限界以下に激減したが好気性菌は前処置にもかかわらず不変であった.手術3日前から前処置を開始しその経日的変化をみるとI群,IIを術前日から当日にかけて嫌気性菌,好気性菌ともさらなる減少をきたすが,III群では前々日から前目にかけて嫌気性菌が十分に減少した.投与カロリーではII,III群は2,000Ca1/dayでI群の4倍であった.

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