1988 年 41 巻 7 号 p. 934-938
クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(CU)におけるコラーゲン代謝を血中P-III-P濃度の変動より検討した.CD緩解期では平均16.5ng/mlと,CD活動期,UC活動期,緩解期に比し,有意に高値を示した.CDでは栄養療法を単独で施行すると治療開始直後よりP-III-P濃度が上昇し,緩解導入後も引き続き上昇して約3カ月で正常に復する傾向を認めた.これにステロイド療法を併用すると,P-III-P濃度の上昇はみられなかった.UCではステロイドが投与された症例が多かったがその有無にかかわらず病期による差は認められなかった.以上より,ステロイドの併用がCD緩解導入期のコラーゲン合成を抑制することと,両疾患のコラーゲン代謝に差異がある可能性が示唆された,