日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸肛門部悪性黒色腫の2例
細胞核DNA Ploidy Patternについて
西森 武雄奥野 匡宥長山 正義池原 照幸東郷 杏一坂口 茂梅山 馨
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1989 年 42 巻 1 号 p. 118-122

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抄録

われわれは直腸肛門部の悪性黒色腫を2例経験したので, その細胞核DNA量の検討とともに報告する.症例1は66歳女性.主訴は肛門部痛.直腸鏡検査にて肛門管に黒色の腫瘤を認めた.症例2は68歳女性.主訴は会陰部瘤痒感。直腸鏡検査にて肛門管から歯状線にかけて淡赤色の腫瘤を認めた-症例1, 2とも腹会陰式直腸切断術を施行した.両症例とも切除標本の病理組織学的検査で悪性黒色腫と診断した.細胞核DNAヒストグラムは2症例ともaneuploid patternを示した.最近, 癌の予後を表現する指標として細胞核DNA量が注目され, aneuploid patternを示すものはdiploid patternを示すものより予後が悪いという報告が多い.しかし, 直腸肛門部の悪性黒色腫の予後と細胞核DNA ploidyとの関係については報告がなく, 今後の検討が期待される.

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