1989 年 42 巻 1 号 p. 39-50
X線と内視鏡検査でみつけた0.6~2cmの大腸平盤状病変68例74病変について, 形態的特徴, 臨床症状および臨床検査成績を検討した.74病変の組織学的内訳は, 癌35.2% (26病変, m7, sm14, pm5), 腺腫54.0% (40病変), 過形成性ポリープ10.8% (8病変) で, 丈の高い病変に比べると1) 癌の頻度が高い, 2) 1cm未満にもかかわらずsm以下に浸潤した癌が多い, 3) 腺腫との関連が少ないという特徴があり.形態的に陥凹を伴うものはいずれも癌であった.症状としては平盤状を示す癌では顕出血例が多かったが, 全体としては50.1%が無症状であった.X線と内視鏡検査の初回診断能は両者とも90%以上で差がなかったが, 陥凹を確認するには内視鏡検査が簡便で確実であった.質的診断については, 深達度診断は腸壁側の変形を描出できるX線検査が優れており, sm以下に深達した癌の診断が可能であった.索引用語 : 大腸平盤状病変, 大腸癌, 注腸二重造影法, 大腸内視鏡検査