抄録
人工肛門造設術を行った137例について早期合併症の発生に関する検討を行った.早期合併症としては皮膚炎がもっとも多く37.2%にみられ, 陥凹, 壊死, 狭窄などについては10%以下と低い頻度であった.手術期間別に検討すると, skinbarrierの普及した後期では皮膚炎, 創感染ともに減少していたが, 陥凹, 壊死, 狭窄, 痩孔形成については手術期間による差はみられなかった.人工肛門造設術の各因子と早期合併症の関連について検討すると, 一期的開口は皮膚炎, 狭窄の合併が少なく, また創感染については二期的開口と差がなく推奨されるべき術式と考えられた.人工肛門の再造設例では壊死, 痩孔形成, 皮膚炎ともに初回手術例に比べ多かった。重複合併症症例では陥凹, 壊死, 狭窄, 痩孔形成を伴う症例が多く, 皮膚炎を高率に併発していた.さらに : 重複合併症症例では再造設術例, 合併症のために再手術を要した症例が多かった.