1989 年 42 巻 4 号 p. 562-567
症例は58歳女性, 昭和60年12月より臍周囲痛が出現, 症状は間欠的で, 近医にて治療を受けていたが, 昭和61年6月16日, 食 欲不振, 下腹部痛を主訴に秋田県成人病医療センターを受診し, 腹部単純X線検査で腸閉塞と診断した. 入院後の注腸検査で, 上行結腸に重積した腸重積症と診断し, 同日開腹手術を施行した. 回腸が内筒となって盲腸に重積し, その先進部の回腸には, 内翻憩室がみられた. 重積部位の回腸は壊死に陥っていた. 切除標本の病理検査で, 憩室は全層性で, 異所性胃粘膜を持ち, Meckel憩室の内翻による腸重積症と確定診断した. 症例報告に加えて, Meckel憩室による腸重積症について文献的考察を加えた.