日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸癌局所再発診断における経時的骨盤部 CT 撮影の意義
渡辺 正豊田 美知子伊藤 勝基桐山 幸三村山 浩基山内 晶司秋山 清次近藤 建高木 弘
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キーワード: 直腸癌, 局所再発
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1031-1038

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抄録

直腸癌の局所再発に対する治療は手術療法を第一選択とするが, 会陰部痛の発現, 血清CEA値の上昇した段階ではすでに手術の適応とならないことが多い.診断にあたっては骨盤部CT撮影がもっとも有効であるが, 再発腫瘍と術後の線維性変化との鑑別は困難である.そこで再発患者31例を検討した結果, 初回手術時壁深達度a2, s症例が17例/31例 (54.5%) でもっとも多く, pmであってもn (+) 症例に再発が認められた.また再発発現は2年以内が26例/31例 (83.9%) であった.以上より, 局所再発の早期発見には術後骨盤部CTをまず3カ月以内にbaseline CTとして撮影し, 以後6カ月ごとに経時的に撮影することがもっともよいと考えられた.現在13例の症例に行い, 2例に比較的早期に再発腫瘍を発見し, そのうち1例に仙骨合併骨盤内臓器全摘出術を施行しえた.また非再発症例であってもbaseline CTが鑑別診断上きわめて有用であった.

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