日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の家族内発症
郷 克己福島 恒男山崎 安信杉田 昭久保 章諏訪 寛石黒 直樹土屋 周二
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1990 年 43 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

自験潰瘍性大腸炎症例300例中6家系に家族内発症を認めた.姉-妹間が2家系, 母-娘間2家系, 父-娘間1家系, 姉 (母) -妹-息子間1家系で, 発症間隔は3年から19年, 発症年齢は10歳から58歳であった.13症例中7例が全大腸炎型であった.HLA抗原を検索した6症例すべてに DR 2抗原を認めた. HLA family study を施行した1家系では, 父親と娘, 息子が同一の haplotype A24-BW52-DR2-DQW1を所有しており, 父親と娘が発症していた.また本邦報告例37家系と自験例6家系において, 家族内発症の臨床像やHLA抗原等について検討を加え, 潰瘍性大腸炎と HLA抗原 A24, BW52, DR2, DQW1の相関について文献的考察を加えた。本症の病因に, そこに免疫応答遺伝子や免疫抑制遺伝子が存在するとされるDR, DQ抗原の関与が示唆された.

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