1990 年 43 巻 2 号 p. 159-164
直腸癌治癒切除 (40例) 後の局所再発8例 (20%) の臨床病理学的特徴, 予後などにつき検討した.再発までの平均期間は22カ月で, 部位別の再発率はRs18.8%, Ra20.0%, Rb22.2%であった.3型での再発率が6%と高率で, また局在部位では腫瘍中心部が前壁にある例での再発率が高かった.腫瘍最大径6.0cm以上で46.7%に, 周径2/3周以上で50.0%に再発を認めた (p<0.01).深達度が増すほど再発率は上昇した.ly因子の有無ではly (+) で36.4%に再発を認めた (p<0.05).Dukes分類別ではB, Cでの再発率が高く, 絶対治癒群では6.9%, 相対治癒群では54.5%に再発をみた (p<0.01).局所再発に対して再手術を行えたのは3例 (37.5%) であった.5年生存率は絶対治癒切除群74.1%, 相対治癒切除群59.6%であった.以上, 局所再発にはly因子の関与が大で, 広範かつ十分なリンパ節郭清が必要である.