日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸腺腫,癌およびその周辺粘膜における癌遺伝子産物発現の免疫組織学的検討
田中 和廣藤盛 孝博平山 大介藤田 昌幸徳田 好勇寺本 忠久北沢 荘平堀尾 光三前田 盛屋代 庫人長廻 紘
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1991 年 44 巻 1 号 p. 46-52

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抄録

大腸腺腫,腺腫内癌,sm癌,進行癌,平坦陥凹型癌,計51例における癌遣伝子産物(ras, c-myc, erbB-2),および増殖因子(EGF, TGF-β)の発現をパラフィン包埋材料の連続切片を用いて免疫組織化学染色により検討した,rasを除く遺伝子産物は腺腫群では低値を示し,浸潤傾向とともに高値を示した.進行癌周囲正常粘膜ではras, erbB-2が高値を示した.癌周囲異型粘膜の染色濃度には癌の病理学的形態による特異的な所見はなかった.sm浸潤部では進行癌が他群に比較して高値を示した.腫瘍性病変の各群とも癌遺伝子産物は重複して陽性を示した.またいずれの群においても浸潤を伴うものではこの部で非浸潤部と比較して重複陽性例が多かった.以上より大腸癌における発癌には複数の癌遺伝子の活性化が関与していることが示唆された.

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