日本大腸肛門病学会雑誌
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S状結腸間膜に発生した中皮腫の1切除例
高橋 利通久保 章竹内 信道
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キーワード: 腹膜悪性中皮腫
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1991 年 44 巻 6 号 p. 992-995

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抄録

腹膜原発の中皮腫はまれな疾患であり,その成績も不良といわれている.当科においてS状結腸間膜原発の限局性悪性腹膜中皮腫の1切除例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.左下腹部痛を主訴に1990年7月,当院産婦人科に入院となった.腹部超音波,CTを施行し,腹水なく,左卵巣腫瘍と診断され,7月25日開腹術を行った.腫瘍はS状結腸間膜から発生し,cysticで直径8cm球状で,S状結腸,回腸の腸間膜をまきこんでいた.S状結腸切除術,回腸部分切除術を行った.病理組織所見では紡錘型の核を有する腫瘍細胞が束状に増殖し,hyaluronidaseに消化される間質が認められた.また上皮性部分はkeratin染色が陽性で中皮腫と確診された.術後経過は良好で化学療法を行い,術後1カ月で退院となった.術後8カ月の現在外来通院中で再発は認めていない.

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