日本大腸肛門病学会雑誌
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教室におけるクローン病手術症例の検討
とくに女性例の妊娠・分娩について
三穂 乙實青木 哲朝山 功北原 慎太郎千葉井 基泰大西 健夫一志 公夫山本 学岡井 秀行
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1992 年 45 巻 1 号 p. 112-117

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抄録

教室で手術を行ったクローン病患者8例のうち,2例は男性で,6例は女性であった.このうち妊娠,出産が問題となる既婚女性5例について,妊娠,出産とクローン病症状の消長について検討した.結婚前に発症し,手術をうけた2例はそれぞれ2回の妊娠,出産に問題なく,妊娠,出産によるクローン病の増悪もみられなかった,結婚前に発症したが保存的治療によって緩解していた1例は第1子分娩後に症状の増悪を認め,手術となった.手術後に第2子を儲けたが,このときは症状の増悪を認めていない.結婚後に発症した2例では,1例が妊娠5カ月で発症し,分娩後に手術をうけており,1例は発症後妊娠していない.少数例ではあるが,われわれの経験では,手術前の2症例における妊娠,分娩がクローン病症状の発現あるいは増悪になんらかの役割を果たした可能性が示唆されたが,クローン病に対する手術が妊娠,分娩に悪影響を与えないことが窺われた.

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