日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌の肝転移
肝切除後の残肝再発に対する再肝切除
吉川 宣輝土屋 裕一
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キーワード: 大腸癌, 肝転移, 再肝切除
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1992 年 45 巻 3 号 p. 292-296

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抄録

大腸癌の肝転移巣に対する唯一の根治的治療法は外科的切除であり,今日では広く行われるようになってU・る。当施設では大腸癌肝転移74例に対して肝切除塗施行し,治癒的な肝切除例の5年生存率は24.5%であった.しかし残肝再発も多い.1991年6月までに再発を確認したのは治癒的肝切除56例中の38例であるが,そのうち29例は残存肝に再発が認められた.残肝再発例に対しては,TACE,エタノール局注,肝動脈挿管動注等の積極的治療を行ったが,なかでも7例に対しては再度の肝切除を試みた.2例は試験開腹に終わり,再肝切除が施行できたのは5例である.1例は再肝切除に加えてTACEを追加したため,肝不全で死亡した.その他の4例はすべて初回肝切除後,3年以上の生存が得られており,再肝切除術は残肝再発例に対する有効な治療法と思われる.

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