大腸癌の原発巣におけるCA 19-9の免疫組織化学的所見と術後再発との関連を検討した.71例にABC法によるCA 19-9の免疫染色を行った.染色性をI:apical type, II:cytoplasmic type, III:stromal typeに分類し,発現の認められない症例は陰性とした.染色陰性の16例中,ルイス式血液型Le(a-b-)は9例認められた.染色性は陰性:7例,I:21例,II:11例,III:23例であり,染色性とリンパ節転移,深達度,組織型,Dukes分類との間に有意差は認められなかったが,染色性IIIを示す症例に有意に再発例が多かった.再発時の血清CA 19-9は再発例23例中11例で陽性であり,これらのうち9例は原発巣にて染色性IIIを示した.染色性IIIを示す症例は再発時血清CA 19-9が陽性となることが多く,このような症例では血清CEA値に加えてCA 19-9値も定期的に測定し,陽性となれば再発を疑い積極的に精査することが再発の早期診断・治療につながると考えられた.