日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸肛門部悪性黒色腫の3例
MRIによる補助診断も加えて
小野寺 久池内 大介古山 裕章今村 正之前谷 俊三
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1993 年 46 巻 7 号 p. 914-919

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抄録

教室で過去25年間に経験した直腸悪性黒色腫3例を報告した.これは全直腸悪性腫瘍の0.5%(3/538)にあたる.2例が女性(72歳,56歳),1例が男性(80歳)であり,全例に腹会陰式直腸切断術を施行した.術前MRI検査を行った最近の1例は,癌腫と異なりT1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を示し,術前診断が可能であった.この症例はDAV(DTIC, ACNU, Vincristine)療法の併用で1年6か月生存中であるが,他の2例はそれぞれ6か月,2年2か月で原病死した.本症は予後不良で,安易な生検は転移を促進するため禁忌といわれ,MRIを併用した術前診断は極めて有用と思われた.治療法として手術術式や,さらに近年脚光を浴びているサイトカイン遺伝子導入療法についても文献的考察を含め報告した.

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