日本大腸肛門病学会雑誌
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46 巻 , 7 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 中村 陽一, 増田 英樹
    1993 年 46 巻 7 号 p. 835-841
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎とHLA-class II抗原との相関性についてはこれまでも報告がなされているが,今回PCR-SSO法という遺伝子学的方法によりHLA-DRB遺伝子のDNA typingおよびDR 2 subtypingを行い,病型,難治性,手術適応との関連性を検討した.その結果,(1)潰瘍性大腸炎症例(n=43)ではDR2遣伝子の出現率は0.406と高頻度であった.(2)全大腸炎型はDR2の出現率(0.588)が直腸炎型(0.167)より有意に高率であった(p<0.01).(3)難治例ではDRB1*1502の出現率(0.458)が非難治例(0.155)より有意に高率であった(p<0.01).(4)手術例のDRB1*1502の出現率(0.400)は非手術例(0.197)より高率であり,DRB1*1501は手術例には認められず非手術例(0.182)のみにみられた(p<0.05).以上より,DR2subtypingは難治例の手術適応の一因子として有用であり,難治例の中には遺伝的に決定された手術適応例が含まれていると考えられる.
  • 高尾 良彦, 宮本 栄, 穴沢 貞夫
    1993 年 46 巻 7 号 p. 842-852
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌初発時に得られる臨床病理学的諸因子のなかに腫瘍の発育速度を予測する因子を求めるために,腫瘍体積と相関する再発大腸癌のCEAダブリングタイムと,その初発時の臨床病理学的諸因子との関係を検討した0手術を施行した538例の大腸癌症例のうち,CEAダブリングタイムを計測できた症例は96例あった。このうち手術後日数をX軸,CEA値の対数をY軸とする片対数グラフ上でその回帰式を求め,r=0.8以上の相関が得られた60症例を対象とした.ss(a1)とsi(ai)の間,s(a2)とsi(ai)の間,およびly2とly3の間に若干の差があったが,総じてCEAダブリングタイムと手術時に得られる臨床病理学的所見の相関はなかった.またCEAダブリングタイムは,手術からCEAが上昇し始めるまでの期間とも相関しなかった.CEAダブリングタイムは,特にCEAが上昇し始めた時期以降の大腸癌における独立した経過予測因子と考えられる.
  • 津田 倫樹
    1993 年 46 巻 7 号 p. 853-868
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎を母地として発生するdysplasiaと癌の特徴および生物学的性状を明らかにし,dysplasia-carcinoma sequenceの可能性を検討した.対象は潰瘍性大腸炎に癌を合併した13例で,通常の大腸癌に比べて若年者に多く,多発癌,低分化腺癌,粘液産生癌の頻度が高いなどの臨床病理学的特徴を示した.13例中12例に癌の周辺部にdysplasia病変を認めた.UEA-1,PNAを用いたレクチン染色による糖鎖の異常は,dysplasiaにおいてすでに認められ,high-grade dysplasiaは癌と同じ傾向を呈した.StreptABC法によるPCNA染色では,high-grade dysplasiaで増殖能の亢進があり,核DNA量測定によるDNAploidy patternでは,dyspiasiaは腫瘍性変化で,high-grade dysplasiaは粘膜内癌とみなされた.これらの点より,潰瘍性大腸炎からの発癌には,dysplasia-carcinoma sequenceが示唆された.
  • 柴田 裕, 小棚木 均, 福岡 岳美, 吉岡 年明, 斎藤 由理, 小山 研二, 成澤 富雄
    1993 年 46 巻 7 号 p. 869-872
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当科において切除された進行大腸癌505例を対象として,切除標本内に合併した大腸腺腫と腺腫内癌の発生部位の特異性を検討した.その結果,進行癌の占居部位による腺腫および腺腫内癌の合併頻度に差は認めなかったものの,腺腫および腺腫内癌の約70%が進行大腸癌の10cm未満の近傍に認められ,さらに進行癌近傍には,より進行した腺腫内癌を認めた.以上より腺腫発生や腺腫の悪性化に関わる因子が進行癌周囲粘膜において,より高度に作用していると考えられた.
  • 西森 武雄, 川口 貢, 奥野 匡宥, 池原 照幸, 曽和 融生
    1993 年 46 巻 7 号 p. 873-877
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    絶対治癒切除大腸癌39例を対象として,核DNA ploidy patternとAgNORs数を測定し,これらと臨床病理学的所見および予後との関連について検討した.核DNA ploidy patternは臨床病理学的所見とは明らかな関連性はみられなかったが,予後の面ではdiplo1d型症例はaneuploid型症例に比べて有意に予後が良好であった.癌細胞核の平均AgNORs数は,そのcut off値を3.00とすると,臨床病理学的所見とは一定の関連性はみられなかったが,AgNORs数が低値の症例は高値の症例に比べて有意に予後が良好であった,aneuploid型症例においてもAgNORs数の低値群は高値群に比べて有意に予後が良好であった.以上の結果から,核DNA ploidy patternおよびAgNORs数は大腸癌の予後を反映する因子となると考えられ,核DNA ploidy patternとAgNORs数を組み合わせることにより,より鋭敏に予後を反映すると思われた.
  • 下山 孝俊, 吾妻 康次, 新海 清人, 林田 謙, 木田 晴海, 清水 輝久, 草野 裕幸, 寺田 隆介, 谷口 善孝, 七島 篤志, 佐 ...
    1993 年 46 巻 7 号 p. 878-885
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌の稀な肉眼形態を示す結節集簇様病変の臨床病理学的特徴を知る目的で,外科的切除した9例と,摘出標本のmicroangiographyを施行した6例の血管構築像を解析した.平均年齢62歳,すべて男性で,直腸に多かった.肉眼形態はIIa様結節,ビロード状,脳回状,絨毛状の各要素で構成され,平均5.7cm大であった.組織は腺管腺腫が主体で癌成分が全例にみられ,pm以深進行癌が4例である.腸壁外血管系はvasa rectaの分岐が個々の隆起に流入し多彩な走行性を示した.腫瘍の血管構築像は基本的にはstalkvesselsを有する腺腫性ポリープが混在した像であった.脳回状領域はポリープ状構築で粘膜ひ解に一致,平坦な領域は既存の粘膜血管に類似して腫瘍細胞の連続性がみられた.進行癌は腸壁全層の血管改築が著明であった.本腫瘍は血管構築像から多段階発癌が示唆され,初期には水平方向に,癌化すると垂直方向に進展するものと推察された.臨床的には深達度判定が困難で,他臓器疾患の併存が高いことなどの背景因子を考慮した慎重な取り扱いを強調した.
  • 山形 和史, 佐々木 賀広, 宇野 良治, 中嶋 均, 斎藤 博, 棟方 昭博, 吉田 豊
    1993 年 46 巻 7 号 p. 886-890
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    33歳の女性.昭和54年腹痛にて発症したクローン病である.緩解と再燃・再発を繰り返し外来通院中であったが,平成4年2月より体重減少,腹痛,排便障害あり入院し,注腸X線検査および内視鏡検査で直腸に全長4cmの狭窄を確認し,クローン病による直腸狭窄と診断した.この狭窄に対して筆者らはバルーンカテーテルによる拡張術を試みた.拡張圧をリアルタイムにモニターする装置を作製し,クローン病に合併した直腸狭窄の保存的治療を安全かつ効果的に施行できた.2回の拡張術の結果,直腸の内腔は著明に拡張した.クローン病における狭窄に対して,最終的には外科手術しか選択の余地がないのが現状であるが,本症例のように拡張術により手術を回避できる例もあり,手術の適応を決める前に試してみる方法と考えている、安全かつ効果的な施行にはリアルタイムに圧をモニターする装置は必須である.
  • 前田 耕太郎, 橋本 光正, 片井 均, 洪 淳一, 山本 修美, 細田 洋一郎, 西野 るり子, 堀部 良宗
    1993 年 46 巻 7 号 p. 891-894
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    分娩時の会陰切開創に発生し,肛門括約筋に及んだ異所性子宮内膜症に対し,腫瘍切除と肛門括約筋形成術を施行した1例を報告する.症例は36歳の女性で,24歳時に2児を出産した,その2年後,会陰部のしこりに気が付き,28歳頃より月経中と月経後に会陰部の膨隆と痛みを認め,6カ月前より硬結の増大を生じた.会陰切開創の一部に,径1.5cm大の腫瘤があり,生検にて,会陰部子宮内膜症と診断され,6カ月間ホルモン療法施行後手術を行った.外肛門括約筋の一部を含む腫瘤切除と括約筋形成術を行い,組織学的に括約筋に及んだ異所性子宮内膜症と診断された.会陰部子宮内膜症が肛門括約筋に及ぶ症例は,非常に稀であるが,肛門括約筋の合併切除を伴う腫瘤切除が必要であり,一期的に肛門形成術を行う術式が可能であると考えられた.本邦報告例26例も集計し,同時に報告する.
  • 宮田 知幸, 林 勝知, 林 昌俊, 伊藤 英夫, 松友 寛和, 片桐 義文, 千賀 省始, 飯田 辰美, 廣瀬 一, 下川 邦泰
    1993 年 46 巻 7 号 p. 895-899
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近10年間の当科における大腸癌手術症例は330例である.そのうち5例にびまん浸潤型大腸癌を経験したので報告する.頻度は1.6%であった.5例中4例(80%)に腹膜播種,3例(60%)に肝転移を認めた.肝転移症例はいずれも腹膜播種を認めた.1例のみが治癒切除症例で,他の4例は非治癒切除症例であった.病理組織学的特徴は,lymphangiosis typeが1例,muconodular typeが2例,mixed typeが1例,分類不能型が1例で,いずれも間質の線維増生は認められず,scirrhous typeは認められなかった.転帰は3例が腹膜播種により術後4,8,10か月,1例が残肝再発により術後8か月,1例が肝不全,DICにより術後1か月死亡であり,全例術後1年以内の死亡で,予後不良であった.
  • 友近 浩, 川上 和彦, 畑川 幸生, 安藤 浩, 松田 保秀, 小澤 享史
    1993 年 46 巻 7 号 p. 900-903
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸のinflammatory fibroid polypは極めて稀である.最近われわれは横行結腸inflammatory fibroid polypの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は71歳の女性.他医にて結腸ポリープを指摘されて来院した.大腸内視鏡検査にて横行結腸中部に大きさ2.0×1.5cm,表面発赤を伴う広基性ポリープを認めてポリペクトミーした.病理組織学的にはinflammatory fibroid polypであった.
  • 牧野 哲也, 菊地 誠, 松能 久雄, 小西 二三男
    1993 年 46 巻 7 号 p. 904-908
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    巨細胞封入体を生検組織中に認めた潰瘍性大腸炎重篤例を報告した,症例は73歳の女性で,平成3年5月下痢症状を主訴に近医受診し,精査の結果初めて潰瘍性大腸炎と診断された.2カ月後,症状は再燃増悪し,直腸から下行結腸に至る高度の炎症性変化と生検組織中の巨細胞封入体が認められた.全身的にウィルス学的検索を行ったが,全身感染は証明されず,ulcerative colitis(以下UCと略す)に併発した大腸のサイトメガロ限局感染と考えた,サイトメガロ感染はUC症状増悪の原因と考え,抗ウィルス療法を併用し,症状の改善をみた.
  • 舟山 裕士, 佐々木 巌, 内藤 広郎, 神山 泰彦, 瀬上 秀雄, 児山 香, 松野 正紀, 本田 毅彦
    1993 年 46 巻 7 号 p. 909-913
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は34歳の男性.心窩部痛,悪心,嘔吐を主訴に近医を受診したが,十二指腸潰瘍としてH2受容体拮抗剤,オメプラゾールの投与をうけたが,改善がみられないため手術を目的に紹介された.上部消化管透視,上部消化管内視鏡にて幽門前庭部の浮腫と十二指腸球部までの狭窄を1伴う結節性隆起性病変と,腹部超音波検査で胆嚢ポリープが認められた.手術では胃十二指腸病変とともに回盲部に腸管の肥厚性狭窄を伴う炎症性病変が認められた.Crohn病と診断し幽門側胃切除術,回盲部切除術,胆嚢摘出術を行い,Billroth-II法,回腸上行結腸吻合にて消化管再建を行った.切除標本では回腸の縦走潰瘍,十二指腸のcobblestne appearance様病変が認められ,病理組織学的にも非乾酪性類上皮肉芽腫の存在が確認された.術後約2年経過した現在,完全に社会復帰しており,吻合部潰瘍や腸病変の再発は認められず緩解状態を維持している.
  • 小野寺 久, 池内 大介, 古山 裕章, 今村 正之, 前谷 俊三
    1993 年 46 巻 7 号 p. 914-919
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    教室で過去25年間に経験した直腸悪性黒色腫3例を報告した.これは全直腸悪性腫瘍の0.5%(3/538)にあたる.2例が女性(72歳,56歳),1例が男性(80歳)であり,全例に腹会陰式直腸切断術を施行した.術前MRI検査を行った最近の1例は,癌腫と異なりT1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を示し,術前診断が可能であった.この症例はDAV(DTIC, ACNU, Vincristine)療法の併用で1年6か月生存中であるが,他の2例はそれぞれ6か月,2年2か月で原病死した.本症は予後不良で,安易な生検は転移を促進するため禁忌といわれ,MRIを併用した術前診断は極めて有用と思われた.治療法として手術術式や,さらに近年脚光を浴びているサイトカイン遺伝子導入療法についても文献的考察を含め報告した.
  • 内藤 伸三, 生田 肇, 黒郷 文雄, 赤松 智俊
    1993 年 46 巻 7 号 p. 920-924
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎穿孔の比較的稀な1例を経験したので報告した.症例は65歳,男性で,下痢,血便を主訴として入院した.臨床症状,大腸内視鏡検査にて重症型潰瘍性大腸炎と診断した.プレドニン,サラゾピリンによる強力保存的療法にて改善傾向がみられ保存的療法を継続も,治療開始17日目より症状増悪,21日目に穿孔を合併緊急手術となる.右半結腸は凝血塊によるタンポナーゼ状を呈し上行結腸に母指頭大の穿孔を認め,結腸全摘,回腸瘻造設術を施行した.切除標本では結腸全域に広範な不整形の多発とpseudopolyposis認めた.術後経過は良好で第42日目に退院となった.
  • 中村 純一, 浅尾 高行, 竹之下 誠一, 長町 幸雄
    1993 年 46 巻 7 号 p. 925-929
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌患者で,腹腔洗浄液中のCEA値(CEA-p)を測定しその有用性を検討した,52例の大腸癌手術症例を対象に,開腹直後,生理的食塩水20mlでダグラス窩を洗浄,回収しCEA-pを測定した.CEA-p陽性率は結腸癌70.4%(19/27),直腸癌32.0%(8/25)であった.壁進達度との関係では,pmまでではCEA-p陽性率は10.0%であったが,漿膜浸潤を有するss以上の42例中71.4%がCEA-p陽性であった.また腹膜転移を有する症例の90.9%がCEA-p陽性であった.これに対し,腹腔洗浄細胞診では腹膜転移陽性例11例中5例の陽陸例しか認めなかった.また漿膜浸潤のない下部直腸癌では,進行例でもCEA-p陰性であり,CEA-pは漿膜浸潤を反映していることが明かとなった.以上により,CEA-p測定は結腸癌患者の有効な腹膜転移の推定因子となり得ることが示唆された.
  • 牧角 寛郎, 木之下 藤郎, 今給黎 茂, 牧角 丞治, 牧角 仙烝, 石沢 隆, 島津 久明
    1993 年 46 巻 7 号 p. 930-934
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    われわれは免疫学的便潜血反応(RPHA 1日法)と問診票を用いた地域大腸癌集団検診を行い,その一次成績の分析結果をすでに本誌に報告した.今回,その後の集検例を含めた二次成績について分析を行った.
    集検希望者4,555名のうち検便と問診票を提出した3,211名について一次検診を行い,要精検と判定された1,221名のうち345名が実際に精検をうけた.そのうち19例に20病変の大腸癌(早期癌15例16病変,進行癌4例4病変)が発見され,発見率は0.6%であった.これらのうち便潜血反応陽性例は18例19病変で,便潜血反応陰性の1例は問診票によって拾い上げられた症例であった.今回も引き続き免疫学的便潜血反応(RPHA)の1日法を実施したが,便潜血反応陽性率が前回分析時の2.1%から8.3%へ上昇したことによって癌発見率も上昇し,便潜血反応の適切な実施の有用性が示唆された.
  • 1993 年 46 巻 7 号 p. 935-949
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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