日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸早期癌の内視鏡診断の進歩
安田 正俊坂井 謙一岸 秀幸発地 美介藤沼 澄夫酒井 義浩
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1993 年 46 巻 8 号 p. 989-995

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抄録

大腸腫瘍性病変は隆起型と表面型に大別される.それぞれの肉眼型における腺腫と癌の特徴を検討するため,当科で内視鏡的に周囲粘膜を含めて完全摘除した大腸腫瘍性病変142病変(表面型80病変,隆起型62病変)につき,内視鏡所見を比較した.表面型癌(13病変)は赤色調のものが11病変(84.6%)と多く,陥凹を有するものは6病変(46%)認められたが,表面型腺腫(67病変)にも陥凹を有するものが12病変(17.9%)存在した.また隆起型癌と隆起型腺腫との間には内視鏡所見上,有意な相違は見い出せなかったが,癌は明らかに大きな病変に存在した.表面型の癌の中には短時間で粘膜下層に浸潤するものが存在すると思われるので,内視鏡時に色素法や拡大観察などを駆使して表面型の腫瘍性病変を拾い上げ,引続いて摘除することが必要である.

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