日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌におけるp53蛋白異常発現と核DNA ploidy pattern
臨床病理学的所見および予後との関連について
柴野 成幸
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1994 年 47 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
大腸癌におけるp53異常発現(124例)とDNA ploidy pattern(97例)について,それぞれ免疫組織学的検索と,DAPI染色による落射型顕微蛍光測光法を用いて検索し,臨床病理学的所見と予後およびPCNA陽性率との関連を検討した.p53異常発現は41.9%(52/124)に認められたが,v因子に差が認めれた以外には病理学的所見,予後およびPCNA陽性率については関連がみられなかった.再発形式においてはp53陽性例は血行性再発が多かった.DNA ploidy patternについては,aneuploidを呈する症例により進行したものが多く,とくに肝転移およびly,n因子の陽性例に有意に多く認められたが,PCNA陽性率とは関連がみられなかった.予後に関してはaneuploid例はdiploid例に比べ,有意た不良であった(p<0.05),しかし治癒切除例のみに限定した場合その差は消失した.再発形式ではaneu-ploid tumorは血行性転移を,またdiploid tumorは腹膜播種をきたしやすく予後を推測するには有用と思われた.
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