日本大腸肛門病学会雑誌
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VI 小児直腸肛門疾患に対する新しい診断法
柳原 潤岩田 譲司下竹 孝志出口 英一常盤 和明岩井 直躬
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1994 年 47 巻 10 号 p. 1105-1110

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抄録

便秘を主訴として紹介された小児の114例(年齢:0日から10歳)に対して,注腸透視,直腸肛門内圧測定,直腸粘膜生検(AchE染色)の順で検査を行った.診断名の内訳はH病(51例),H病類縁疾患(8例),慢性便秘(39例)および遺糞症(16例)であった.年齢別でH病およびH病類縁疾患は新生児例と乳児例がほとんどであった.一方,慢性便秘および遺糞症は幼児期以降であり,紹介された患児の年齢による疾患の差が認あられた.検査の手順は注腸透視,直腸肛門内圧測定,直腸粘膜生検の侵襲の少ない順で行われた.直腸肛門内圧測定は新生児の一部の症例を除いて容易に直腸肛門反射の有無が判定された.組織学的診断はH病類縁疾患の診断と新生児症例の一部を除き容易にできた.小児の便秘症例は注腸透視,直腸肛門内圧測定,直腸粘膜生検を組み合わせて行うことにより,診断が可能であった、しかし,小児の特殊性を考え,診断の手順と検査の問題点を十分に理解し,診断していく必要がある.

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