日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸粘液癌の検討
豊田 和広岡島 正純浅原 利正正岡 良之小林 理一郎小島 康知伊藤 敬藤高 嗣生川堀 勝史土肥 雪彦松山 敏哉
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1994 年 47 巻 4 号 p. 324-330

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抄録

大腸癌では粘液癌は比較的少なく,予後は不良とされている,最近13年間に当科で経験した大腸粘液癌21例について,非粘液癌431例(対照)と比較し検討した.平均年齢は60.0で対照と差はなかった.男女比は9.5:1で男性に多く認められた.腫瘍の占居部位は直腸,S状結腸に多かったが,対照と比べると右側結腸に多く認めた,組織学的壁深達度は全例pm以上であり,si(ai)が多い傾向にあった,リンパ節転移は61.9%に認め,対照に比べると有意に多く,肝転移,腹膜播種性転移も多い傾向にあった.このため治癒切除率は61.9%にとどまり,また治癒切除症例の生存率を対照と比較しても有意に不良であった,stage別に生存率を比較すると,stage II,III症例で対照と比較して粘液癌の予後が不良であった.また直腸癌で予後を比較すると,粘液癌の方が不良であった.治療成績の向上のためには,早期診断,適切な手術,補助療法などが重要と思われた.

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