日本大腸肛門病学会雑誌
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骨盤神経叢の局所解剖
直腸癌の骨盤神経叢温存術のために
山本 雅由
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1995 年 48 巻 9 号 p. 1009-1016

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抄録

系統解剖遺体20例を用いて側面像から骨盤神経叢の局所解剖を検討した.骨盤神経叢は腹膜反転部より頭側の骨盤内筋膜下に存在し,大きさは平均3.5×2.2cmであった.各仙椎の下端から恥骨結合上縁を結ぶ接線(O-Sn線)と,岬角の頂点から恥骨結合上縁を結ぶ接線(O-P線)に平行で仙椎下端を通る線(Sn(O-P)線)との交点で表すと,側面からみた骨盤神経叢の上角は男女ともS1(O-P)とS2(O-P)の間に存在した,骨盤神経叢の前角は,男性はO-S3とO-S4およびS2(O-P)で囲まれる部分に,女性はO-S3とO-S5,S2(O-P)およびS3(O-P)で囲まれる部分の腹側に存在した.第4骨盤内臓神経(S4n)は,男性では前仙骨孔から分枝して恥骨結合上縁に向かう方向に走行し,女性では恥骨結合下縁方向に走行していた.直腸癌と骨盤神経叢の位置関係が明らかになることにより,全神経温存術やS4n温存術の適応が正確なものになると考えられた.

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