1996 年 49 巻 1 号 p. 30-35
前駆症状に感冒様症状を伴い下痢, 腹痛を訴えた, 若年者 (15歳~33歳) 12症例に対し受診当日に大腸内視鏡検査を施行したところ, I型 : 粘膜面に色調の変化はないが浮腫状変化がみられるもの, II型 : 白苔を伴わず発赤, びらんがみられるもの, III型 : 紅暈を伴うびらん, a) びらんと正常粘膜の境界が不明瞭なもの, b) びらんと正常粘膜の境界が明瞭なもの, IV型 : 白苔を伴うびらんまたは潰瘍を呈するもの, に分類可能であった.全例便培養が実施されたが菌の検出はみられなかった.治療に関しては2~3日の絶飲食で症状は軽快し2~3週後の大腸内視鏡検査で所見の消失がみられた.これらのことより, 急性期の所見は多種の炎症性疾患と類似しており経過観察による評価が必要であると思われた.