大腸癌肝転移症例に対する治療成績を予後を中心に検討した.大腸癌肝転移症例99例を対象にし, I群 : 肝切除群16例, II群 : 肝切除+肝動注リザーバー群10例, III群 : 肝動注リザーバー群19例, IV群 : one shot肝動注あるいはTAE群14例, V群 : 抗癌剤全身投与群21例, VI群 : 非治療群19例の6群に分け, 予後について比較検討した.II群の肝切除+肝動注リザーバー群の予後が最も良好で, 1年, 3年生存率とも100%と, 他のいずれの治療群に対しても有意差を認めた.次にI群の肝切除群の予後が良好で, 累積生存率は1年75.0%, 3年39.3%, 5年29.5%であった.III群, IV群, V群, VI群の予後は非常に悪く, 1年生存率はそれぞれ, 44.2%, 28.6%, 38.1%, 26.3%であった.以上より, 肝切除後肝動注リザーバーによる反復動注が予後の延長に有用である可能性が示唆された.
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