1996 年 49 巻 2 号 p. 177-182
1970年1月より1994年12月までに大腸穿孔 (外傷性, 医原性および被覆穿孔を除く) 28例を経験した.28例を生存群22例と直死群6例の2群に分け, その予後に影響する因子を検討したところ, 高齢者, ショック, 糞便性腹膜炎および白血球減少が予後を不良にする重要な因子と考えられた。一方, 発症から手術までに要した時間と予後との関係は, 一般にはその時間が短い程予後が良いといわれているが, 自験例では有意な差は認められなかった.結論として予後を大きく左右する因子は経過時間そのものより患者の基礎疾患, 全身状態および腹膜炎の程度であると考えられた.また治療に関しては, 術前から抗生剤や多価酵素阻害剤の投与を含む適切な坑ショック療法と手術術式の選択が重要であると思われた.