日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌切除後の再発に及ぼす予知因子の多発量解析による検討
山村 卓也松崎 弘明松岡 博光田中 一行菊池 賢治及川 博花井 彰小笹 貴夫瀬尾 圭亮赤石 治月川 賢山口 晋
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1997 年 50 巻 2 号 p. 130-135

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抄録

1979年から1990年までの根治度Aの大腸進行癌265例(再発87例,5年以上無再発例178例)を対象として,どの臨床病理学的因子が切除後の再発に強く影響しているかを多変量解析により検討した.対象例全体ではリンパ節転移,大きさ,環周度の順であった.再発形式別にみると肝転移再発ではリンパ節転移,深達度,vの順であり,リンパ節転移の程度が増すのにしたがって肝転移再発の頻度が増加した.肺転移再発ではリンパ節転移,発生部位,vの順であり,リンパ節転移の程度が増すのにしたがって肺転移再発の頻度が増加した,局所再発では肉眼型,CEA値,環周度の順であった.リンパ節転移再発ではリンパ節転移,大きさの順であり,リンパ節転移の程度が増すのにしたがってリンパ節転移再発の頻度が増加した.腹膜転移再発に強く影響する因子はなかった.以上の結果をふまえ再発形式別の再発予知因子を念頭においた術後の治療計画をたてる必要があると思われた.

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