日本大腸肛門病学会雑誌
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Lateral Spreading Tumor 21例の検討
徳嶺 章夫高野 正博辻 順行黒水 丈次久保田 至河野 洋一嘉村 好峰豊原 敏光島田 章城内 英郎日高 久光井上 文孝田代 和弘廣国 敏昭麻生 重明外山 裕二野崎 良一中島 英輔鹿毛 政義
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1997 年 50 巻 2 号 p. 80-86

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抄録

大腸の側方進展型腫瘍(Lateral spreading tumor:以下LST)は,大腸腫瘍の中で比較的特異な性格を持っため,その治療方針について判断に苦慮することがある、今回われわれは治療方針決定に役立てる目的で,LST21例22病変について検討したので報告する.対象は1992年6月から1995年7月までに経験した男性7例,女性14例の計21例22病変で,年齢,性別,発生部位などの臨床的項目の分析とともに,肉眼形態や大きさと病理組織診断との関連について検討した.形態分類では工藤らの顆粒型,非顆粒型をそれぞれ結節型,非結節型扁平隆起とし,さらに結節型は大田らの分類に従い結節均等型,結節不均等型,粗大結節型に分けた.結論として(1)結節型では諸家の報告と同様に結節が不均等になり,粗大結節が出現するにつれて悪性度が増してゆくと考えられた.(2)非結節型扁平隆起がとくに悪性度の高い病変であるということは考えにくかったが,悪性であれば結節型より早期に深達度を増してゆく可能性があると考えられた.(3)結節型で30mmを超える病変,または非結節型扁平隆起で10mmを超える病変であるときは粗大結節や陥凹の存在に注意し,視野の確保が不充分となる部位や分割切除となる可能性が高い場合は,内視鏡治療よりむしろ腹腔鏡などの方法含めた外科的切除を行ったほうが安全ではないかと考えられた.

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