1998 年 51 巻 2 号 p. 115-120
われわれは内視鏡的に観察された潰瘍性大腸炎(UC)のうち虫垂開口部周囲病変(以後,虫垂部病変)について,UC経過中の推移を内視鏡的に検討した.対象は全結腸が内視鏡で観察されているUC145例中虫垂部病変を有する16例である.16例の平均年齢は45.9歳で,男女比は7:9.虫垂部病変は初回内視鏡施行時に8例で発見され,16例全体では平均2.7回目に発見された.虫垂部病変の内視鏡所見はUCの活動期の像に類似し,主病変は直腸炎4例,左側大腸炎7例,その他5例であった.16例中7例ではUCの初回診断時には虫垂部は正常で,経過観察中に虫垂部病変が出現した.虫垂部病変の経過観察は7例に行われ,病変の消失が5例,不変が2例であった.経過観察期間中の主病変の治療はsalazosulfapyridine,pre-dnisoloneで行われていた.UCにおける虫垂部病変の臨床的意義については今後さらに検討が必要と思われる.