CD44の活性は細胞膜上の局在変化によって誘導されると考えられている.本研究はこの活性化機構を考慮し,CD44の細胞内局在の違いと肝転移能との関係を明らかにすることを目的とした.結腸癌の27例(肝転移症例10例を含む)を対象として,CD44の陽性率および細胞内局在と肝転移の関連性を免疫組織化学的に検討した.その結果,陽性率は肝転移症例で高い傾向にあったが有意ではなかった.細胞内局在では,CD44が基底膜側に局在した症例に肝転移陽性例が多く(71.4%),肝転移陰性例には1例も見られなかった(p=0.01).以上より,基底膜側に局在したCD44は活性型と推察され,同部にCD44が局在する腫瘍は高い転移能を有するものと考えられた.またCD44と癌の転移能との関連性を評価する上で,活性化機構を考慮した細胞内局在の差を検討することが重要であると思われた,