日本大腸肛門病学会雑誌
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同時性大腸多発癌における表面型早期癌の右側大腸優位性について
澤井 照光辻 孝山口 栄一郎七島 篤志山口 広之安武 亨中越 亨綾部 公懿
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1998 年 51 巻 8 号 p. 567-572

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抄録

過去8年間に長崎大学第1外科において外科的切除がなされた同時性大腸多発癌(以下,多発癌)は54例で,同時期における大腸癌の9.6%を占めていた.多発癌の平均発症年齢や,男女比,組織学的病期,他臓器重複癌の併存率,第1度近親者における癌の家族歴は大腸単発癌(以下,単発癌)と同程度であった.多発癌の特徴は,(1)占拠部位が右側大腸優位であること(p<0.05),(2)表在型癌・早期癌が多いこと,(3)高分化腺癌が多いこと,(4)腺腫の併存が高率であること((2)~(4)すべて,p<0.00001)であった.多発癌54例にみられた合計128病変の癌のうち早期癌74病変について左右大腸で比較すると,右側大腸では肉眼型として表面型が多く(p<0.0002),発育形態もnon-polypoid growthを示すものが多かった(p<0.05).
以上より,大腸癌,とくに右側大腸癌においては表面型早期癌や腺腫等の合併病変の有無に留意する必要があると考えられた.

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