日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸癌術後排尿障害におけるUrodynamic Study (尿流動態検査) の臨床的意義
鈴木 弘文新井 竜夫小野 正人杉藤 正典川島 清隆
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1999 年 52 巻 5 号 p. 379-386

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抄録

Rs以下直腸癌33症例を対象とし, Urodynamic Studyを手術前後で行い臨床症状に対する測定の意義について検討を行った.手術前と後 (6カ月) に尿回数の変化, 尿意, 残尿感, 排尿困難の有無についてアンケート調査を行った.同時に平均尿流率, 残尿量, 最少尿意量, 最大尿意量, 膀胱コンプライアンス, 最高尿道閉鎖圧の検査項目を計測した. (1) 尿回数の変化は, 最大尿意量と膀胱コンプライアンスが関連. (2) 尿意の変化, 失禁, 残尿感の有無は, 残尿量のみが関連. (3) 排尿困難の有無は, 残尿量と膀胱コンプライアンスが関連した.症状別に関連が有意なのは残尿量, 最大尿意量, 膀胱コンプライアンスであり経時的な変化としては術前に比べ減少傾向 (残尿量増加) を示していた.Urodynamic Studyは症状に対する客観的な評価としても有用で, その経時的な変化は回復する過程の有無を推察する一つの方法として意義のあるものと考える.

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