抄録
最大径3mmのIs型sm大腸癌の1例を経験した.隆起型の微小sm大腸癌は珍しく,大腸癌の自然史を考察するうえで非常に興味深い.症例:46歳,女性.主訴:下痢.便潜血反応陽性で軽度貧血を認めたため精査目的で当科受診.大腸内視鏡検査でS状結腸に径約3mmのIsポリープを認め,内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行った.組織診断は高分化腺癌で腺腫成分は認められず,深達度sm,切除断端陽性であった.このため後日腹腔鏡補助下S状結腸切除術,D2郭清を行った.追加切除標本に癌の遺残を認め,深達度はsm3,先進部中分化腺癌,脈管侵襲陽性,n1(1/12)であった.微小sm大腸癌はほとんどが陥凹型であり,自験例のような隆起型は現在まで報告がない.自験例は腺腫成分を持たないことからde novo発癌と考えられ,隆:起型として発育し,ごく早期の段階で粘膜下層に浸潤したと考えられた.