2001 年 54 巻 6 号 p. 383-389
本邦における大腸癌に対する腹腔鏡下手術の現況を知るために261施設の日本大腸肛門病学会評議員にアンケート調査をおこない,136施設からの有効回答があった.大腸癌に対する腹腔鏡下手術は,有効回答があった87%の施設で行われていた.その中で,腹腔鏡下手術は56%の施設が早期癌を対象としていた,各施設における腹腔鏡下手術の根治性についての見解は,早期癌に対しては自施設では根治性があると答えた施設は72%であったが,進行癌に対しては8%であった.腹腔鏡下手術の普及を妨げる重要な因子としては,リンパ節郭清など手術の根治性に不安がある,指導者・術者の不足などが挙げられた.1施設当りの年間腹腔鏡下大腸切除数は15.2±14.8例であり,術者1人あたりの年間手術数は,6.1±7.6症例であった.この結果をもとに,大腸癌に対する腹腔鏡下手術の今後の発展に役立てて行きたい.