2003 年 56 巻 3 号 p. 103a-113
全大腸炎型活動期の潰瘍性大腸炎(UC)では,上部消化管運動異常があり,下痢を伴う頻便は胃排出機能の充進により,増悪される可能性が報告されている.そこで,全大腸炎型活動期重症UC5例(男性4例,女性1例,29~49歳,平均38.6歳)について,健常人14例(男性10例,女性4例,24~46歳,平均35.8歳)を対照に,半固形食胃排出機能(全粥に99mTc標識ラジオアイソトープ法)と液体食胃排出機能(オレンジジュースを用いたアセトアミノフェン法)を検討した.その結果,UCでの半固形食および液体食の胃排出曲線はともに,対照と有意差なく類似の排出パターンを示した.以上より,全大腸炎型活動期重症UCの胃排出機能は正常に機能しており,頻便には関与していないものと思われた.