2003 年 56 巻 6 号 p. 299-303
過去20年間に当科で経験した結腸軸捻転症50例について臨床的に検討した.捻転部位はS状結腸が40例,盲腸が7例,横行結腸が3例であった.正診率はS状結腸では85%と高く,横行結腸で33%,盲腸で29%と低かった.横行結腸と盲腸ではいずれも注腸で捻転部位の診断が可能であった.腹膜刺激症状の無いS状結腸22例,盲腸2例に大腸内視鏡が施行され,それぞれ16例,1例に内視鏡的整復が可能であった.内視鏡的整復後再発した6例を含む37例に開腹術が施行され,32例に腸管切除が施行された.本症は長期臥床の高齢者や神経精神疾患患者に好発するため,腹膜刺激症状の無い場合には大腸内視鏡を施行し,捻転部の粘膜所見により内視鏡的整復あるいは緊急手術を選択するのがよいと思われた.