日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸切除後の側端吻合再建における腸管運動の研究
堀越 邦康今村 大朗山村 卓也
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2003 年 56 巻 8 号 p. 392-400

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抄録

大腸再建後の消化管運動障害の機序を電気生理学的および組織学的に明らかとすることを目的として本研究を行った.雌犬計9匹を使用し,器械吻合にて側端吻合を行った.蠕動測定のため吻合部に縦横2カ所,口側,肛門側ともに約3cm離しstrain gauge transducerを縫合固定した.術直後,術後2週,4週にポリグラムを用い各点最大収縮値(CI),収縮運動量(MI)を計測した.4週目に吻合部を摘出し,HE染色,免疫組織染色を行い,Auerbach神経叢間距離,介在する瘢痕組織の長さとCIおよびMIとの関係を調べた.その結果,術後経過と共に吻合部におけるCIおよびMIは回復傾向を示したが,口側,肛門側に比べ低値であった。吻合部の蠕動波は術直後では不規則であったが,術後4週で規則的になった.神経叢間距離とCIおよびMIは強い相関関係を示した.以上から器械吻合による側端吻合では,運動機能の回復は神経叢間距離に関係することが明らかとなった.

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