日本大腸肛門病学会雑誌
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V.遺伝性非ポリポーシス性大腸癌の診断と治療
小西 文雄河村 裕
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2004 年 57 巻 10 号 p. 877-883

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抄録

遺伝性非ポリポーシス性大腸癌は,DNAミスマッチ修復遺伝子の異常によって生じる.家系内発症,若年発生,右側大腸に多く発生,大腸多発癌,他臓器重複癌の発生などの特徴がある.その診断には家族歴や現病歴の聴取が重要であるが,ミスマッチ修復遺伝子の胚細胞変異の解析が直接的な診断根拠となる.臨床診断基準としては,Amsterdam CriteriaIIが用いられることが多く,子宮内膜癌,尿管癌,小腸癌などのHNPCC関連癌の存在も診断上重要視されている.日本の診断基準におけるcriteriaAは,Am-sterdam criteriaに近いものであるが,criteria Bはスクリーニング目的に用いられるものと理解される.HNPCCに対する手術方法としては,通常の大腸癌の標準的手術が選択されることが多いが,HNPCCの診断が確実な場合には,大腸多発癌に対する予防的手術として大腸亜全摘術が考慮されることもある.診断治療後にも患者本人および家系メンバーの大腸癌や子宮内膜癌の発見を目的とした定期的検査が必要とされる.

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