2005 年 58 巻 8 号 p. 422-426
症例は66歳,女性.肝機能異常の原因検索のためたまたま行った腹部CT検査で直腸右側に直径23mm大の腫瘤を認めた.このため大腸内視鏡検査を施行したが異常を認めなかった.CTガイド下に腫瘤針生検を行ったところ,扁平上皮癌と診断された.再検した大腸内視鏡検査で肛門管右壁にIIc病変が存在し,生検で扁平上皮癌と診断されたため,251番リンパ節転移をともなったIIc型肛門管扁平上皮癌と診断し腹会陰式直腸切断術,D3を施行した.病理組織学的所見は,中分化型扁平上皮癌,sm,ly0,v1,n2(+),stagembであった.