2006 年 59 巻 3 号 p. 113-119
目的:抗ヒトOrotate Phosphoribosyl Transferase(OPRT)抗体を用いたOPRT免疫組織化学染色とOPRT酵素活性,臨床病理学的背景因子およびOPRT翻訳領域にあるsingle nucleotide polymorphisms(SNPs)との関連性について検討した.対象:2003年12月から2004年7月までに当科で外科的切除された大腸癌35例とした.成績:OPRT活性は癌部が正常部に比べて有意に高値を示した(p<0.001).また,OPRT免疫組織化学染色においてOPRT蛋白高発現例のOPRT活性は低発現例に比して,有意に高値を示した(p=0.036).OPRTの蛋白発現と臨床病理学的背景因子およびSNPsとの問に関連性は認められなかった.結論:OPRT免疫組織化学染色からOPRT蛋白発現の評価を行うことでOPRT活性を測定する代用となり,さらには5-fluorouracil(5-FU)高感受性群の選別が簡便になると考えられた.