日本大腸肛門病学会雑誌
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切除痔核組織内に見られる肛門腺と痔瘻瘻管内に見られる肛門腺の形態とその意義
宇都宮 高賢柴田 興彦菊田 信一堀地 義広河野 豊一八尾 隆史
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2006 年 59 巻 5 号 p. 251-258

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抄録

痔核組織に認められる肛門腺(男性22人,女性20人)と痔瘻瘻管内に見られる肛門腺(男性30人,女性7人)の組織学的特徴と男女間の比較検討を行い,その意義について検討した.痔核組織内肛門腺は,導管直走型,下行性が多く,管壁は移行上皮に被覆され,男性は円柱上皮を併存する症例が多かった.管壁の厚さ,外径,内径の男女差はなく,Herrmann線からの距離肛門腺の長さにも違いはなかった.痔瘻瘻管内の肛門腺は,円柱上皮より成るものが男性で多く,女性では扁平上皮化生した肛門腺の割合が多かった.管壁の厚さ,外径は男女差はないものの,管腔内径は男性が有意に広かった.粘液産生能は女性に陰性例が多く,扁平上皮化生した部位では粘液産生はなかった.肛門腺の感染の要因には,管壁が円柱上皮で被覆され,管腔の内径が広くなることであり,感染が消退するには,扁平上皮化生し,管腔が閉鎖する事と考えられた.

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