日本大腸肛門病学会雑誌
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59 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 宇都宮 高賢, 柴田 興彦, 菊田 信一, 堀地 義広, 河野 豊一, 八尾 隆史
    2006 年 59 巻 5 号 p. 251-258
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    痔核組織に認められる肛門腺(男性22人,女性20人)と痔瘻瘻管内に見られる肛門腺(男性30人,女性7人)の組織学的特徴と男女間の比較検討を行い,その意義について検討した.痔核組織内肛門腺は,導管直走型,下行性が多く,管壁は移行上皮に被覆され,男性は円柱上皮を併存する症例が多かった.管壁の厚さ,外径,内径の男女差はなく,Herrmann線からの距離肛門腺の長さにも違いはなかった.痔瘻瘻管内の肛門腺は,円柱上皮より成るものが男性で多く,女性では扁平上皮化生した肛門腺の割合が多かった.管壁の厚さ,外径は男女差はないものの,管腔内径は男性が有意に広かった.粘液産生能は女性に陰性例が多く,扁平上皮化生した部位では粘液産生はなかった.肛門腺の感染の要因には,管壁が円柱上皮で被覆され,管腔の内径が広くなることであり,感染が消退するには,扁平上皮化生し,管腔が閉鎖する事と考えられた.
  • 豊永 敬之, 松島 誠, 香取 玲美, 高橋 知徳, 霧生 孝司, 曽川 慶同, 完山 裕基, 松村 奈緒美, 下島 裕寛, 野澤 真木子, ...
    2006 年 59 巻 5 号 p. 259-264
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    2000年から2004年の問に当院にて外科的切除を行った肛門部尖圭コンジローマ122例を対象とし,その治療成績と再発の危険因子について検討した.男性80例,女性42例で平均年齢は37.7歳であった.主訴は腫瘤触知,痒み,出血,痛み,分泌物の順であった.発症部位は肛門周囲では単発13例,散発48例,多発20例,ビロード状13例,鶏冠状17例,カリフラワー状6例であった.肛門管内,外性器部の合併はそれぞれ43%,15%であった.腰椎麻酔(97例,80%)または局所麻酔(25例,20%)にて外科的切除を行った.術後合併症は治癒遷延,裂肛,皮膚炎などを16%に認めたが,保存的に軽快した.再発は59例(48%)に生じ,1例を除き6カ月以内であった.再発の危険因子は出血症状,多発~カリフラワー状の肛門周囲病変肛門管病変の合併であった.肛門部尖圭コンジローマに対する外科的切除は第一選択としてよいと思われるが,再発は高率で,患者への充分なインフォームドコンセントと少なくとも6カ月間の経過観察が必要と思われた.
  • 箕畑 順也, 平井 孝, 小森 康司, 金光 幸秀, 加藤 知行
    2006 年 59 巻 5 号 p. 265-269
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    前立腺にのみ直接浸潤が疑われた肛門管扁平上皮癌の症例に対し前立腺・精嚢全摘をともなう直腸切断術を行った.症例は68歳男性.血便,排便困難を主訴に前医を受診し肛門管扁平上皮癌と診断された.体外照射(40Gy)を行ったが腫瘍の残存を認めたため手術を行った.術中所見にて前立腺精嚢にのみ直接浸潤が疑われたため直腸切断術に加え前立腺・精嚢全摘術を施行した.術後15日目に膀胱尿道吻合部の縫合不全を認めたが,保存的治療により軽快した.術直後は夜間の尿失禁を認めたが徐々に軽快し,良好なQOLを得ることができた.本術式は確実なsurgical marginの確保と術後排尿機能温存に有用な一法であると思われた.
  • 中谷 紳, 瀧上 隆夫
    2006 年 59 巻 5 号 p. 270-275
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性,排便時肛門出血を主訴に受診.大腸内視鏡検査で肛門管後壁,歯状腺直上に15×15mm大の赤色扁平隆起を認め,インジゴカルミン散布後の近接観察で,腫瘤表面の絨毛状構造と大小不同の著明な血管増生像を認めた.腰麻下,経肛門的に局所切除術施行.病理学的検索により低分化扁平上皮内癌(squamous cell carcinoma in situ: CIS)と診断した.またPolymerase chain reaction(PCR)法にて,悪性腫瘍関連型(高リスク型)のHuman PapillomavirusであるHPV16が検出された.
  • 小林 建司, 小出 修司, 森本 守, 宮井 博隆, 柴田 直史, 早川 哲史, 宇佐見 詞津夫, 田中 守嗣
    2006 年 59 巻 5 号 p. 276-281
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は77歳男性.下痢と体重減少を主訴に2005年3月28日当院内科受診大腸内視鏡で潰瘍性大腸炎と診断された.mesalazineの治療で増悪したため入院.絶食とステロイド治療でもさらに悪化し,ステロイド増量と顆粒球除去療法にも反応しなかったためサイトメガロウイルス抗原陰性であることを確認後2005年6月1日腹腔鏡下に全大腸肛門切除,回腸人工肛門造設術を施行した.術後経過,ストーマケアともに良好で術後18日で退院した.高齢者の定義も定かでなく,手術適応となる高齢者潰瘍性大腸炎の症例が少ないことからその術式も決まりはない.本症例は肛門機能の低下は明らかであったため永久の回腸人工肛門とした.高齢発症の潰瘍性大腸炎で手術適応となる症例は珍しく術式の決定には注意を要する.肛門機能温存不可能な高齢者潰瘍性大腸炎症例に腹腔鏡下全大腸切除は選択の一つとなり得る術式である.
  • 2006 年 59 巻 5 号 p. 282-292
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 5 号 p. 293-307
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
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