2000年から2004年の問に当院にて外科的切除を行った肛門部尖圭コンジローマ122例を対象とし,その治療成績と再発の危険因子について検討した.男性80例,女性42例で平均年齢は37.7歳であった.主訴は腫瘤触知,痒み,出血,痛み,分泌物の順であった.発症部位は肛門周囲では単発13例,散発48例,多発20例,ビロード状13例,鶏冠状17例,カリフラワー状6例であった.肛門管内,外性器部の合併はそれぞれ43%,15%であった.腰椎麻酔(97例,80%)または局所麻酔(25例,20%)にて外科的切除を行った.術後合併症は治癒遷延,裂肛,皮膚炎などを16%に認めたが,保存的に軽快した.再発は59例(48%)に生じ,1例を除き6カ月以内であった.再発の危険因子は出血症状,多発~カリフラワー状の肛門周囲病変肛門管病変の合併であった.肛門部尖圭コンジローマに対する外科的切除は第一選択としてよいと思われるが,再発は高率で,患者への充分なインフォームドコンセントと少なくとも6カ月間の経過観察が必要と思われた.
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