抄録
【目的】急性非代償性心不全(ADHF)の予後規定因子を虚血性心疾患(IHD)と他の心疾患で検討.【対象】2006年7 月~2010 年6 月に当院に入院した連続757 例をIHD,非虚血性弁膜症性心疾患(VHD),非虚血性非弁膜症性心疾患(NIVHD)に分け予後規定因子を検討.【結果】IHD(234 例),VHD(179 例),NIVHD(344 例)の院内死亡率3.4%,4.5%,5.8%.IHD は高齢,男性,高血圧,高脂血症,糖尿病,慢性腎不全合併が高く,心房細動合併は低率.生存退院721 例の長期予後(811±496 日)は3 群間で差を認めなかった.多変量解析でIHD は高齢,退院時血清Na 低値,退院時BNP 高値,VHD は高齢,退院時血清Na 低値,NIVHD は入院時BMI 上昇,退院時血清Na 低値,入院時収縮期血圧低値が長期の予後規定因子であった.【結語】ADHFでは基礎疾患により予後規定因子が異なった.