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論文
低酸素濃度下におけるチタンの腐食速度と水素吸収挙動
鈴木 宏幸谷口 直樹
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2006 年 55 巻 11 号 p. 485-494

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抄録

高レベル放射性廃棄物の地層処分におけるオーバーパックには1000年間以上の寿命が要求されており, その候補材料のひとつとしてチタンが挙げられている. チタンをオーバーパック材料として用いる場合に評価すべき項目のひとつとして水素脆化が挙げられるが, 地層処分で想定される中性から弱アルカリ性の低酸素濃度環境におけるチタンの耐食性や水素吸収挙動について十分な知見が得られていない. よってチタンの腐食速度および水素吸収挙動について信頼性の高いデータを取得するために, 長期浸漬試験および完全密封容器試験を実施した. 環境因子をパラメーターとした試験の結果, 高炭酸塩 (1mol/dm3) 条件と高pH環境 (pH 13) で主にアノード反応の促進によると思われる腐食速度の顕著な増加が認められた. それ以外の条件では, 腐食速度は10-3~10-2μm/yの値となった. また腐食により発生した水素のほとんど (98%以上) がチタン中に吸収されていたことが分かった. チタンの長期吸収について安全側の評価として水素吸収量の経時変化を直線則で近似すると1000年間で400~500ppmの水素を吸収することが示唆された.

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© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
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