材料と環境
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論文
ジェット水流型織機における13Crステンレス鋼製部品ヘルドのすきま腐食
中津 美智代高島 正之辻川 茂男
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2006 年 55 巻 11 号 p. 495-504

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抄録
本報では, ウォータージェットルームの部品である13Crステンレス鋼製フラットヘルドに発生するすきま腐食損傷について調査を行った. ヘルドは, 水道水の水しぶきにより常に濡れ, PAAE系樹脂の付着物が大量に付着した状態で使用される. 通常品 (ヘルドC) は, 約2年の耐久であるが, 腐食事例品ヘルド (ヘルドX) は, 1, 2カ月で局部腐食が発生した. 30℃, 20~1,000mg/L塩化物イオン濃度において, ヘルドXの金属/金属-すきまにおける腐食すきま再不動態化電位 (ER,CREV) と塩化物イオン濃度 ([Cl-]) との関係が (1) 式で求められた.
ER,CREV(mV vs. SHE)=-294 log[Cl-](mg/L)+832 (1)
金属/付着物-すきまのER,CREVは, 16mg/L Cl-において, 式 (1) に接近していた. 水道水中の残留塩素濃度が0.4mg/Lになると, ヘルドXの定常自然電位ESP,Xは570mVに貴化する. 式 (1) のER,CREVESP,Xの比較から, すきま腐食は8mg/L以上で発生する可能性がある. つまり, 夏場の水道水中の塩化物イオン濃度14mg/Lで, ヘルドXは実際にすきま腐食が発生する. ヘルドXのESPがヘルドCより高く貴化するのは, 材料中のCr炭化物析出量の多さに関係すると推測された. すきま腐食の防止策として, WJLに使用する水道水の残留塩素濃度を0.04mg/L以下に管理することが有効である.
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© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
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