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論文
カーボヒドラジドの熱分解速度および同薬品の炭素鋼に対する腐食抑制効果
藤原 和俊河村 浩孝平野 秀朗高橋 勘丈前田 敏彦小池 正実
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2006 年 55 巻 6 号 p. 245-251

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抄録

加圧水型軽水炉 (PWR) の二次系では, pHを調整する目的でアンモニアが, 溶存酸素濃度 (DO) を低減させることを目的としてヒドラジンが給水に注入されている (AVT処理). カーボヒドラジドはヒドラジンに変わる脱酸素剤として着目されている. 本研究では, カーボヒドラジドの熱分解挙動, 脱酸素効果および還元作用の効果をヒドラジンとの比較のもとに検討した.
373Kから428Kでのカーボヒドラジドの熱分解率は, 15分間で50%以下であった. これら熱分解試験よりカーボヒドラジドの熱分解速度定数を求めた. カーボヒドラジドの脱酸素効果は, ヒドラジンに劣るものの, 423Kではヒドラジン溶液よりも炭素鋼に対して腐食抑制効果があることを確認した. これは, 423Kではカーボヒドラジドはヒドラジンに比較し還元作用が穏やかであり, 鉄酸化物の還元溶解を抑制するためと考えられた. 以上の結果よりPWR二次系におけるヒドラジンの代替水処理剤としてカーボヒドラジドが有望であると考えられる.

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© 2006 公益社団法人 腐食防食学会
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